トラについて

2013年6月
道端でひとりぼっちで鳴いていた、
小さな小さな子猫。
それがトラとの出逢いでした。
生後3日、体重88g、
先天性の脳障害がありました。
生後1週間程経った頃には痙攣発作がはじまり、
目が開いたと思った時には、
僅かに光を感じる程度までに視力も失われていました。
小さな身体、
体力の消耗もはげしく、
命の灯火は消えてしまうのではと思われました。
けれど命の灯火はやがて大きな炎となり
幾多の困難をも乗り越える力となりました。
目が見えなくても、
トラの心には美しい景色が広がっています。
鼻が効かなくても、
潮の香り、森の香り、風の香りを感じています。
歩けなくても、
大地のエネルギーを身体中で感じています。
脳が障害に侵されていても、
みんなの温かい愛を感じています。
そしてこれら全てはトラに生きる力を、
勇気を与えてくれています。
脳障害がわかった当初、
1歳の誕生日を迎えることは
難しいのではと思われたトラ。
現在トラは4歳の誕生日を迎えようとしています。
身体はとっても小さいけれど、
強く、逞しく、毎日を生きています。